忍者ブログ
二次創作テキストサイト。はじめての方は「はじめに」をご覧下さい。
 3 |  131 |  130 |  58 |  129 |  128 |  127 |  126 |  125 |  124 |
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

懲りずに左右田×日向+ひよこちゃんの話。
題名は診断メーカーから。








* * * * *

『おにぃが起こしてくれないとやだ!』

そんな我儘を聞いてやるのもどうかと思うのだが、俺は毎朝西園寺を起こしに行っている。
扉を叩きながら「西園寺ー、朝だぞー」と声をかけるも反応がない。
西園寺の返事の代わりに、俺の後ろに立っていた左右田が大きな欠伸をするのが聞こえた。どちらもいつもの光景だ。

「なァ日向ー、どうせ小泉が起こしに来るんだしもう行こうぜ」
「それはそうだけど…また泣かれると困るだろ」
「……そりゃあまァ、メンドクセーけど」

けどなァ、と何か言いたげな声が聞こえるので振り返れば、左右田は納得がいかない様子だった。
俺の一日は、左右田を起こす事から始まる。
部屋の鍵もかかっていないので勝手に入って左右田を起こし、その後朝食を摂りに行く、というのがいつの間にか習慣化していた。
そんな一日の始まりに、西園寺も起こすという仕事が加わったのだ。
俺が左右田を起こしに行っていると聞いた西園寺が『わたしも!』と駄々を捏ね…俺が折れたという、何とも情けない話である。
けれど結局のところ、部屋に入る事は出来ないのでこうやって扉の前で呼びかける事しかできない。
しかもそれで西園寺が起きてくれた事はなくて、結局は小泉に頼んで起こしてもらっている、という訳だ。
左右田も、俺が起こした後にこうやって付き合ってくれている。
だからこそ西園寺の態度が気に入らないのだろう。

「左右田は先に行って朝飯食ってていいぞ。あ、どうせなら小泉を呼んでくれると助かる」
「あのなー、そーゆー意味じゃねーよ!オレが言いてェのは…」
「なんだ?」

言い淀む左右田に聞き返せば、拗ねた子供のように目を逸らして答えてもくれない。
これは言う気がないな、と溜息を吐けば

「オメーが鈍いのが悪い」

そう、不機嫌極まりない答えが返ってきた。その言葉にむっとして睨み付けると、左右田は珍しく強気な態度で睨み返してきた。
無言で睨み合う事数十秒。
先に折れたのは俺の方で、朝からなんでこんな事をしているんだと視線を落とす。
左右田が何を思ったかは分からないが、清々しい朝が台無しになるのは嫌だった。
言う気もないけれど、二人一緒に居られるこの時間が結構好きなのだ、俺は。
(なのに喧嘩するって…、意地っ張り同士だからか)
はあ、と小さく溜息を吐いたところで、左右田の身体が動いたのが視界の端に映った。
なんだ、と顔を上げたところですぐ目の前に左右田の顔がある。

「え、」

左右田、と呼ぶ前に口を塞がれて何も言えなくなる。
驚いた反動で後退りしそうになったけれど、いつの間にか左右田の腕が背中に回っていて動きが取れなかった。
ほんの少しの隙間から左右田の舌が口内へと入り込んできて、思わず目を瞑ってしまう。
逃げようとした自分の舌を簡単に絡め取られて肩が震えた。

「…おにぃ?」
「!!!」

そのまま快楽に流されそうになったところで可愛らしい声が背後から聞こえてきて、勢いよく左右田の身体を突き飛ばす。
いってえ!!と怒った声が聞こえたがそんなのは無視して腕で口を拭いてから振り向くと、丁度よく扉がゆっくりと開いたところだった。
心臓がバクバクと五月蝿いのはさっきまでの行為のせいで、けれどそれを西園寺に悟られないように深呼吸をしてから口を開く。

「お、おはよう西園寺。珍しいな、自分で起きるなんて」
「べつに、わたしだって一人で起きれるんだから!それより、小泉おねぇは?」
「あぁ、これから呼んでくるよ」
「早くしてよね!」

眠そうな顔をした西園寺は、どうやら寝るときも和服のようだった。言うだけ言って、扉はゆっくりと閉じていく。
普段より大人しめの色合いが見慣れなくて観察しそうになったが、そんなことをしようものなら何を言われるか分かったものじゃない。
それに何より早くここを離れたくて、わかったと告げてから背を向ける。
するとそこには、ここ数日で一番の不機嫌そうな表情をした左右田が立っていて、思わずうわっ、と声を上げてしまった。

「日向、オメーなあ!」
「わ、悪い」
「そーだ、オメーが悪い!オメーが鈍いのが何よりも悪りーんだよ!!」

大声で主張されて、西園寺が怒って出てくるのではないかという考えが頭を過ぎった。
その場を離れようと慌てて左右田の手を引いて走り出すと、ぎゃあとかなんなんだよとか色々愚痴っているのが聞こえる。
掴んだ手はさっきまで眠そうにしていたからか温かくて、その体温が先程の出来事を思い出させた。

「とにかく、早く行くぞ!」

後ろを振り向くのも恥ずかしくて前を向いたままそう告げれば、しゃーねえなあ、という呟きが聞こえた気がした。
けれどその返事よりも何よりも、立ち止まってから左右田に何を言えばいいのかが分からなくて俺は頭を悩ませる羽目になったのだった。


* * * * *

ひよこちゃんの相手ばかりしてる日向くんにもやもやする左右田くん
(オレの相手しろよ!!って言いたいけど言えないへたれ)
っていいですよね!


PR
この記事にコメントする
Name
Title
Color
Mail
URL
Comment
Password   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
secret (管理人しか読むことができません)
♥ Admin ♥ Write ♥ Res ♥
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
拍手など
Copyright ©  柚子缶  All Rights Reserved.
*Material by *MARIA  / Egg*Station  * Photo by Kun  * Template by tsukika
忍者ブログ [PR]