「遊馬…うざいんだよ、目障りなんだよ！君のいちいちが！」

トロンから得た力を遊馬にぶつければ、彼の瞳から光が消えた。
覇気のない瞳でぼんやりとどこかを見つめる遊馬は、今までの彼とは別人のようだ。
先刻までの力強い眼差しが消え、僕の心は落ち着きを取り戻す。
そう、遊馬の力の源、かっとビングは消えたんだ。
これで僕は彼らに勝つ事が出来る。…違う、勝たなければならないんだ、家族の為に。

「遊馬、絶望の中で君には消えてもらう」

これでいい、これで勝利を収めることが出来る。そう思ったら自然と笑い声をあげていた。
けれどそれと同時に、落ち着きを取り戻した筈の心がざわめき出す。
遊馬の瞳はぼんやりとしたまま、輝きを放つ事もない。

（それでいいじゃないか、彼のかっとビングは消えたんだ）

目が合ったとたん、ほっとしたのが嘘のように不安が湧きあがる。
オーパーツの事を話した時、心が躍ったのを思い出す。
あの時みたいに遊馬が笑いかけてくる事もなくなってしまうのだ、彼の力を奪ったのだから。

（遊馬の笑顔が見れなくなる、）

何故だろう、そんな事は理解していた筈なのに。
だというのに、心がざわめく。勝利を確信して喜んでいた僕は一体何処へいってしまったんだろう。
これも遊馬の力だというのだろうか。もう力は消えたのに。

（…けれど、それでも）

けれど僕は、遊馬に勝たなければならない。
心のざわめきも不安もすべて無視して進まなければならないんだ。

（だからさよなら）

僕の心も、君の心も。すべてさよならだ。

Ⅲちゃんと遊馬のCPが萌えるなあと思い始めて数週間が経ちました。
本編はⅢちゃんがさすがⅣの弟だね！と言わんばかりの
口の悪さを発揮して大変なことになってますが、
そんな中でも葛藤してたらいいなーと。
48話のゼアルの内容によっては失敗した感溢れる内容ですが！