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いおちゃんに捧げるヨハジム話です。
誕生日おめでとう!の気持ちを込めて。








* * * * *

「よっ、ヨハン!久しぶり!」
「…何で十代がここにいるんだ?」
「何でって、呼ばれたからだけど?」

家へ帰った俺を出迎えたのはジムとカレンではなく、親友である十代だった。
呼ばれたって、ジムに?と聞こうとするとちょうどジムが奥のキッチンから見慣れたエプロンをしたままやってきた。
持っているのはこれも見慣れたトレイで…けれど乗っているものは珍しくティーポットとカップだ。
そういえば、と視線をテーブルに向ければ、美味しそうなチーズタルトが置いてある。
十代の手にはフォークがあるし、これは間違いなく。

「…これを食うために?」
「さっすが、よく分かったな!」
「Yes、さすがヨハンだ」

十代とジムはにこにこと笑っているけれど、正直俺は面白くなかった。
ジムは俺の恋人だ。そのジムが十代を呼んでケーキを振る舞うだなんて、面白いわけがない。
しかもエプロンをしているところからして、手作りの可能性が高い。
(俺にだって滅多にそんな事しない癖に)
ジムは甘いものが苦手だ。だというのにわざわざタルトを作り、十代を呼んで食べてもらうだなんて!
俺が無言のままでいると、十代はからりとした表情で

「男の嫉妬は醜いって言うぜ?」
「誰のせいだよ」

そんな事を言うものだから、こちらの対応も悪くなってしまう。
じろりと睨みつけてみても親友兼悪友である十代はどこ吹く風だ。にやにやと笑ったままこちらを眺めている。

「…?shit?」
「あー、何でもない!それより何だよそれ」

ジムは違う単語と聞き間違えたようだがそれなら好都合、とばかりに誤魔化してから俺はテーブルの上にあったタルトを指差す。
すると

「Ah-…本当は隠しておきたかったんだ」
「だよなー。ヨハンがこんなに早く帰ってくるとは思わなかったし」

ジムは言葉を濁し、十代は楽しそうに言葉を続ける。
やっぱり面白くない。
けれどそんな俺の様子に気付いたのか、ジムは慌てて

「もうすぐヨハンのBirthdayだろう?だから、」
「手作りタルト作ってやろうと思ったらしいぜ?でも」
「But、甘いものだと味見が出来ないと思ってね。それを話したら十代が来てくれたんだ」

言葉を引き継ぐように話を続ける二人を見て、思わず深いため息を吐いてしまった。
どうしたんだい、とジムが声をかけてきたが俺はそれを無視して十代に詰め寄る。

「それで、十代は弁解する気もないんだな」
「弁解も何も、オレは悪い事なんてしてないだろ」
「…そうだけど」

何を言ってるんだ、と呆れた表情を浮かべる十代。
まったくもってその通りではあるので、俺は反論の余地などない。
ジムが俺の為にやってくれた事なのはわかる。十代も手伝ってくれただけ。
…けれどやっぱり、面白くない。子供っぽいと思われようが嫌なものは嫌だ。
そんな態度が顔に出ていたんだろう。十代は苦笑してから椅子から立ち上がった。

「ネタバレもした事だし、そろそろオレ帰るわ。ジム、タルト美味かったぜ!」
「Thanks十代…って、もう行くのかい」
「用事思い出したから!じゃあな、二人とも」

言うだけ言って十代は素早くその場を去っていく。
残されたのは食べかけのタルトと、淹れたばかりの紅茶。
突っ立ったままなのも何なので、俺はとりあえず席についた。
つられるようにしてジムも向かいの席に座り、二人分の紅茶を淹れて渡してくれた。

「さんきゅ」
「You bet!」

そう言ってからジムはにこりと笑い、紅茶に口をつける。
俺はといえば、何を言えばいいか分からずにその様子をぼんやりと眺めていた。

「ヨハン、」
「ん?」
「もう分かっていると思うけれど、来週は」
「俺の誕生日だから、ご馳走作って待ってます!ってことだろ?」

先回りしてそう言えば、ジムはbingoと言って笑う。
そうやって普段通りに笑うジムを見ていたら、拗ねていたのが馬鹿みたいだと思えた。
(だって全部俺のため、なんだもんな)
俺の恋人はいつでもどんな時でも、相手の為になることを喜んでやるタイプの人間なのだ。
そう思ったら、さっきまでのもやもやが一気に消える。
俺ってすごく単純だ。

「?どうしたんだい」
「何でもない!期待してるぜ、ジム!」
「I know it's worth waiting! 」

笑ってそう伝えれば、ジムも笑顔で返してくれたのだった。



* * *

いおちゃん誕生日おめでとうー!
もうすぐヨハンの誕生日でもあるので、こんな話になりました。
少しでも気に入ってもらえると幸いです。
またぜひジム語りしましょうー!
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