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フローリアンを見てイオンさまを思い出してしまうアニスの話。
(イオン←アニスです)
(イオン←アニスです)
* * * * *
似てる。当たり前だけど、似てる。
けど…あの人とは違うんだ。私の知っているあの人とは、別人なんだ。
じぃ、と穴が空くくらい(ほんとに穴が空くなんてありえないけれど)、目の前にいる彼を見つめる。
そんな私の視線を痛いくらい分かっているはずの彼は気にした様子もなく、
にこにこと嬉しそうに笑いながら私の作ったシチューを食べている。
イオン様は当たり前だけどこうじゃなくて、もっと…、
そう、微笑みを浮かべて食べるんだ。食べ物一つ一つに感謝しながら。
「…アニス?」
「へっ、あ、何?」
いつの間にやら、彼――フローリアンは手を止め顔を上げ、不思議そうに首を傾げながら私を見ている。
我に返って、何故だか慌てて椅子に座り直してから私は姿勢を正す。
見つめられると弱いのだ。どうしても…あの人を思い出すから。
「何かあった?僕のお行儀、悪かった?」
「違う違う!ていうか、フローリアンはお行儀いいから大丈夫!」
心配そうな表情を見てまたしても、やっぱりそっくりだなぁなんて当たり前の事を思った。
彼らは似過ぎている。本物そっくり。それがレプリカというものだとは分かっているし、
私が慕っていたあの人もまた、レプリカだとは知っているけれど。
でも、やっぱり似ていると思ってしまうのだ。
フローリアンは、外見、表情、仕草…その上声までもが同じだけれど、全く別の個人。
それは理解している。ちゃんと分かっているけど…見るたびに思い出す。
あの人の嬉しそうな表情や悲しそうな表情。困った表情に泣きそうな表情。そして…大好きだった、笑顔。
心配そうにしているフローリアンにあはは、と笑って誤魔化して、私はスプーンを手に取る。
(ごめんね、フローリアン)
心の中で謝罪をして、泣きそうになるのを堪えてから、私は冷めたシチューを食べ始めた。
* * * * * * * * * *
イオンさまを忘れられないアニス。
けどフローリアンの優しさというか無邪気さというか、
そんなところに癒されるようになるといいよ…!
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