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ヴァンとの戦い前夜のアシュナタ。
なんだかんだでナタリアを心配しまくるアッシュがかわいいと思うのです。
なんだかんだでナタリアを心配しまくるアッシュがかわいいと思うのです。
* * * * *
はぁ、と溜息をひとつ。
寒空の中、吐き出された溜息は白い空気となって浮かび上がる。
きっと、この中には不安と憂鬱と…寂しさが入り混じっているのではないかしら、とぼんやりと思った。
「何をしている」
「…えっ?」
だからだろう、聞き覚えのある声への反応が遅れてしまった。
慌てて振り向くと、見覚えのあるシルエット。紅い髪、黒い服…そして私を真っ直ぐに見る瞳。
「アッシュ!?」
「何だ」
もう呼びなれた彼の名前を叫ぶと、彼は真っ直ぐに見つめたまま、私を睨む。
それでも瞳の奥には暖かみが宿っているようだ。少なくとも、私にはそう見えた。
だから怖くなどない。それどころか、会えて嬉しいと思う気持ちの方が大きい。
彼が何故ここにいるのか…それはきっと、明日、私達が行うことを知っているからかもしれない。
(もしかしたら、心配してくれたのでしょうか?)
そう思って、私は意を決して尋ねてみる。
「あの…どうしてここに?」
「別に、用事などない」
真っ直ぐな瞳を逸らし、彼はどこか照れているように見えた。
これは彼の癖なのだと思う。普段は真っ直ぐな瞳を逸らし、否定の言葉を呟く彼。
(こういう所も、変わりませんわね)
そう思って、自然と頬が緩んだ。
「…ありがとうございます」
彼が来てくれた事に感謝して、私は感謝を込めてお辞儀をした。
すると彼は驚いたように私を見てから、再び視線を逸らした。ちっ、という舌打ちをしながら。
「明日、だな」
「えぇ」
どこか休める場所は、とホテル内の喫茶店に入って私達は向かい合わせに座った。
彼はどこか居心地が悪そうに見えたけれど、私は彼といられる事がただただ嬉しかったので、
そんな事(彼が聞いたら怒ることは目に見えている)は気にしないでおいた。
座った途端、会話は本題へと移る。私は頷いてから、再び彼の名前を呼ぶ。
「アッシュ」
「何だ」
彼の言葉は短く、必要最低限の事しか喋らない。それでもどこか優しさが宿っているから、私は気兼ねなく話すことが出来る。
彼の視線に負けないよう、私も彼を真っ直ぐに見つめる。
「明日…私、生きて帰りますわ」
「…ふん、当然だな」
一緒に来て下さいませんか、という言葉は飲み込んでおいた。
彼は、きっと来てくれない。彼は彼のレプリカ…私のもう1人の幼馴染、ルークを嫌っているからだ。
だから心配はしてくれても、共に戦う事が出来ない。それが悔しくて、悲しい。
悲しいけれど…仕方のない事なのだ、と自分を抑え込む。
それよりも今は、明日のことを考えなくてはならないのだ。
明日のことを考え、そして彼に会ったことで思い立ったことを告げようと、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「ですから」
「……」
言葉の先を促そうと、彼は何も言わずに私を見つめる。真っ直ぐな、アイスグリーンの瞳。
彼が見ていてくれるから、はっきりと、その言葉を口にできた。
「また…、逢いましょう」
「……あぁ」
私の言葉に、彼は頷く。
それだけでよかった。それだけで、私は明日の戦いで生き残る自信を手に入れた。
彼との約束があれば…生き残るために、そして勝つために明日の戦いに臨めると思ったから。
私は嬉しくなり、微笑んで感謝の言葉を口にする。
「ありがとうございます」
「…また礼か」
はぁ、と呆れたように彼は溜息をつく。アッシュが溜息をつくなんて珍しいこともあるものだ、と思いながら私は再び微笑んだ。
すると彼も、一瞬ではあったけれど…笑ってくれたのだった。
* * * * * * * * * *
師匠との決戦前夜、アッシュはルークの元へ行く前にナタリアに会ってたら良いのに、と思ったので…。
ナタリアのためならば行きたくもない喫茶店にも付き合ってくれるアッシュ。
外だと誰かに見られる可能性があるからとか何とか
(ナタリアが風邪を引いたらまずいというのが本音だけど言えない。)理由をつけて行ってくれそうです。
そういえば、アッシュの瞳の色…アイスグリーンはアイスブルーとも言うようです。
でもグリーンのほうが良いかなと思ったので『アイスグリーン』で。
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