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幻水5・シグレ主 1話目。


* * * * * 

窓から見えるのは、真っ青な空。
そしてその青空の下、カイルとかいう女王騎士団の奴相手に稽古をしている王子の姿が見えた。真新しい衣服に身を包み、どこか輝きを放つ王子の姿。
あぁ、こいつは本当に。

「めんどくせー奴、だな…」
「シグレちゃん、何か言ったー?」
「いーや、何も」

どうやら仕事の資料を整理しているらしいフヨウは、視線を向けはしないものの、オレの言葉にだけは反応してきた。
オレは曖昧に返事を返し、ぐったりと机にうつ伏せになる。

「ちょっとちょっと、仕事しなさいよシグレちゃん」
「うるせぇなぁ…」

仕事の手は止めず、それでもフヨウはオレの気も知らずに騒ぎ立てる。
人が考え事をしてる時に茶々入れるんじゃねーよ。
そう言ってやろうかと思ったが、後の事を考えて、言おうとした言葉を飲み込んだ。
面倒な事は極力避けていくのが一番だ。それが楽だし、一番良い。


…そう、思ってたのに。


起き上がり、再び窓の外へと目を向ける。
するとそこには相変わらず、女王騎士と真剣に稽古を続ける王子の姿。



「…あーぁ、気になって仕方ねぇ」



がたり、という音と共にオレは立ち上がり、部屋を出ようと歩き出す。向かうはもちろん、王子の元。


「ちょっと、シグレちゃん!」
「用事があんだよ。じゃあな」

背後からフヨウの怒りの篭った声が聞こえる。けれどそんなものは完全に無視して、オレは部屋を出た。


廊下の窓から見えるのも、さっきと同じ青い空。
でも、ひとつだけ足りないものに気付き、オレは肩を竦める。

「あいつがいないとダメ、って事か」

めんどくせぇなぁ。
誰もいない廊下でそう呟いてから、オレは王子の元へ向かうべく、早足で歩き出した。



面倒事には関わらないはずが、自分からそこへ向かうなんて馬鹿馬鹿しいとは思ったが…行かずにはいられない自分がいるのだから、もう、どうしようもない。


* * * * * * * * * *

やってしまった。
シグレ好きなもので、つい、王子と絡ませたくなってしまいました。
今後増やしていけるよう頑張ります…!

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