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誕生日の捧げもの第2弾、
覇王と万丈目さんのお話。



 




* * *

「万丈目」
「…覇王?」

未だ聞き慣れない低めの声。こちらを見つめる瞳は金色に輝いている。
覇王、それがこの男の名前だ。
普段は全く姿を見せないこの男は、時々こうやって現れる。しかも人が寝ようとしている時限定。今日も当然のように寝る直前に姿を現すのだから困ったものだ。
安眠妨害だ、と毎回文句を言っても聞きやしないのは、元々の人格である十代と同じだ。
そう言うと眉間に皺を寄せて一気に不機嫌になるので言わないようにはしているが…

「何か言いたい事があるようだな」
「っ、…何でも、ない」

覇王はこうやって人の心理をあっさりと見抜いてくるので気が抜けない。
だが、その緊張感が嫌ではなくなった。
出会った当初は冷たい瞳で睨まれるだけで背筋が凍ったものだが、今や夜這いじみた事をしてくるこの男に慣れてしまった。
他人の前には決して現れない覇王が、俺の元にやってくるのは特別な事だと言ったのが原因かもしれない。

「…その割には不服そうだが」
「べ、別に不満などない!勝手な推測で話を進めるな!」

けれど、俺の思いなど知りもしない覇王は無表情のままこちらを見つめている。
その瞳が綺麗だと思ったのはいつからだろうか。気付けば虜になっていた。
何も言えずにその瞳を見つめていると、まあいい、とだけ呟いて覇王は辺りを見回し始めた。

「?覇王、何を」
「・・・気配はない、か」

何の、と聞こうと思ったが、オジャマたちの気配が消えていることに気付く。覇王はそれを言ったのだろう。
普段なら五月蝿いくらいにまとわりついてくる奴らがいないと、途端に静かになる。
けれどこの男といる時はその方がいい。二人きり、というのは気恥ずかしいが、それが心地良いとさえ思ってしまう。
十代と共にいる時では思いもしなかった事だ。それが不思議でもあり、この男の魅力なのだろうかとも思う。

「…俺が来てやっているというのに、十代に会いたいのか?」
「!」
「図星か」

そんな事を考えていたからか、十代の名前に反応して肩を震わせてしまった。
覇王がそれを見逃す訳がない。金色の瞳は一瞬にして冷たい眼差しへと変わっていく。
そのまま無言で詰め寄ってくる男が恐ろしいと思ったのは事実。けれど今の俺は恐怖という感情以外をこの男に抱いているのだ。
壁際に追い込まれた俺はそれを証明する為に、震える体に力を込めた。

「…か、勘違いするな!俺が好きなのは」

胸倉を掴んで引き寄せて、勢いのままに覇王の唇に自分のそれを押し付ける。
慌てて直ぐに離れたものの、感触はしっかりと残った。
覇王は俺の行動に驚いたのか目を瞬かせたが、立ち直りも早いのか人の悪い笑みを浮かべてくつくつと笑う。

「いい度胸だ」
「わ、悪いか!」
「いや。…それでこそ、俺の惚れた相手だ」

その言葉に今度は俺が驚く番だった。しかし驚く間もなく唇を塞がれ、何も言えなくなる。息が詰まる。
どうにかして逃げ出そうにも覇王の力は強くて逃れる事などできない。
不意をついて口内に覇王の舌が入ってきて、みるみるうちに体の力が抜けていく。

(ああ、やっぱり)

悔しい事に、俺はこの男を愛しているらしい。
愛を囁く事もない、俺を所有物のように扱うこの男が不意に言ったその一言で全てを赦してしまうのだから。

 

 

* * * * *

囚われたのは覇王様なのか万丈目さんなのか。
っていう、そんな雰囲気小話。
昼:十代くん
夜:覇王様
というかたちで二心同体設定でお送りしました。

しかし
覇王様わっかんねえ/(^o^)\
ってなりました申し訳ありません覇王様…


偽者・・・!って思ってるかもだけど
かさのさん、どうぞ受け取ってやってくださいませ。
誕生日おめでとう、そして十万本の脱稿おめでとう!
 

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