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今日はヨハンの誕生日!
ってことでヨハジムです。
ヨハンはジムが好きで好きで仕方ないっていう。





* * * * *

6月11日、0時0分。今日は俺の誕生日だ。
真っ先に恋人に祝ってもらおうと部屋を出ると、ちょうどジムも部屋を出てくるところだった。
こういう時、同棲というのは便利だとつくづく思う。会おうと思えばすぐ会える。
何より一緒にいるのが楽なので一緒に暮らすという選択肢は間違っていなかった、と自負している。

(それに何より、幸せなんだ)

そんな俺の思いに気付いていないだろう恋人は、俺に気付くと綺麗な笑みを浮かべて近づいてきて、嬉しそうな声音でこう言った。

「Happy birthday、ヨハン」
「ん、サンキュ」

微笑み返すとジムは笑みを深くして満足げな様子だ。
一番に聞こうと思ってはいたものの、相手も同じように一番に言おうと考えていたと思うと余計に嬉しくなる。
嬉しいついでに抱きつこうとして、ふと思いとどまる。立ったままだと身長差がありすぎるのだ。

(15cmって・・・結構でかいよな)

俺の背が低いわけじゃない、ジムが成長しすぎなのだ。こんなに笑顔が可愛いくせに背は高いとはどういうことだ。
おかげで俺が抱きつくとジムが支えるという形になってしまう。それは悔しい。
どうせなら、好きな子に抱きついてもらえた方が嬉しいじゃないか。
そんな不満が顔に出ていたのか、ジムはこちらの様子に目を瞬かせる。

「ヨハン?」
「何でもない・・・でさ、プレゼントとかあったりするのか?」
「Of course!Kitchenへ行こう」
「キッチン?」

話題を変えてみれば、ジムはあっさりとその話題に乗ってきた。
プレゼントを用意してくれるなんて思ってもみなかった。
俺は特に欲しいものもないし(大事な家族である宝玉獣達もいるし、恋人であるジムがいるし)、何かを用意するなんてことはないだろうと踏んでいたのだ。
けれどジムは用意しているという。何故かキッチン・・・ということは、豪勢な料理でも用意しているのだろうか。(夜中に食べれるとは思えないけれど)
ジムは軽やかな足取りでキッチンへと向かっていく。俺も遅れないようにと足早についていくことにした。
そして問題の場所へやってきたところで、案の定ジムは冷蔵庫を開ける。しかしそこから出てきたものは、俺の予想とは違っていた。

「え、これ」
「Birthday cake. 俺が作ってみたんだ」
「いや、それは分かるけど、え、ジムがこれを?」
「Yes.」

楽しそうに笑うジムが見せてくれたのは、なんとケーキだったのだ。
甘いものが苦手だといっていたジムがまさかケーキを作るなんて。味見はどうしたんだろう、自分でやったんだろうか。
もしかしたら誰かに手伝ってもらって、いやでも自分で作ったって・・・と自問自答していた俺に、ジムは不思議そうに首を傾げる。

「どうしたんだい?」
「あ、いや、えーと!すっげえ嬉しい!ジムの手作りケーキってことだよな!」
「・・・、ヨハンの口に合うかどうかは分からないけれど。1人だったから味見も少ししか出来ていないんだ」

申し訳ない、とでも言うように眉が八の字になるジム。
けれどその言葉に俺の機嫌は一気に良くなった。甘いものが苦手なジムが1人で作ったケーキ。それはつまり、俺の為だけに作ってくれたものだから。
思わず笑みが零れ、それを見たジムは驚いたように再び目を瞬かせた。(そうやって驚く姿も可愛い、と思ってしまうのは惚れた弱みか)

「よっし!じゃあ食べようぜ!ほらほら、椅子座って」
「ヨハン、ケーキを切るKnifeは?」
「いいっていって、2人だけだし」

キッチンからリビングへと移動し、二人並んで席に着く。
フォークだけしっかり取っておいた俺はジムへフォークを手渡して、手を合わせて「いただきます」と口に出した。
隣に座るジムもくすりと笑ってから手を合わせて「イタダキマス」と一言。
挨拶をしっかりする、というのはDAに通ってからついた習慣だ。ふと、日本ではこれが当たり前だと言っていた親友の姿を思い出した。
今度十代に自慢しよう、そう決めてから俺はジムお手製のケーキへと手を伸ばす。
フォークを刺すと、ふっくらしたパウンド部分はなかなかの弾力。生クリームも美味しそうだ。
一口大にしてから口に運べば、程よい甘さの生クリームが口の中で溶けていった。美味しい。

「うん、美味い!」
「Really?」
「嘘つくわけないだろ!ほら、ジムも」
「いや、俺は」

ジムが甘いものを苦手としているのは知っているけれど、今日は俺の誕生日だ。
これくらいいいじゃないか、と小さめに切ったケーキをジムの口元へ運ぶ。
俺がやめる気配がないのを感じ取ったのか、恐る恐る、といった様子でジムは口をあけてくれた。そうしてゆっくりと咀嚼し、これまたゆっくりと飲み込んだ。

「な、美味いだろ?」
「・・・甘さを控えめにしておいて正解だった、かな」

期待した俺の眼差しに苦笑しつつもジムは答えてくれる。
そうやって、俺のやる事にしっかり付き合ってくれるジムが好きだ。不意に、ジムが欲しくなった。
じっと見つめると、その視線の意味に気付いていないらしい俺の恋人はにっこりと微笑む。
そこで口元にほんの少しだけクリームがついている事に気付く。
真面目でしっかりした性格なのに、こういうちょっとしたドジをするジムが俺はやっぱり好きだ。

「ジム、」
「What's?」

ついてるぞ、という前に体が勝手に動いていた。
ジムに近づいて口元についていたクリームを舐める。何故かさっき食べたケーキよりも甘い気がした。
ここで怒られるかと思ったが、突然の事に驚いたのかジムは固まっている。
そこで好都合とばかりに今度はジムの唇に自分のそれを重ねた。
最初は軽く。ちゅ、という軽いリップ音と共に離したものの、やはりそれだけでは足りないとばかりに再度唇を塞ぐ。
一瞬の隙に舌を割り込ませれば、ジムの肩がびくりと震える。歯列を辿り、彼の舌を絡め取るのに時間はかからなかった。
しかしそこで漸く我に返ったジムに突き飛ばされた。肩で息をしているジムの顔は真っ赤に染まっている。その原因が自分にあるのが何故か誇らしかった。

「ヨハン、何を・・・!」
「今日は俺の誕生日だろ?これくらいいいじゃん、他にも色々した事あるわけだし」
「そういう問題じゃ「だって、ジムが欲しいんだから仕方ないだろ」

あくまでも冷静であろうとするジムの様子が面白くなくて、俺は率直に自分の思いを口にする。
そうすれば、ジムは真っ赤な顔を更に赤くして黙ってしまうのだ。結局のところ、ジムは俺に甘い。

(だから我儘言っちゃうんだけどさ)

ジムは優しい。誰に対しても優しい。そして何より俺に甘い。
だから俺は我儘を言ってしまうし、ジムを自分のものにしたいと考えてしまう。もう俺のだけど。

「な?だから続き。」
「っ、」
「ジムの全部。全部俺のだからさ?」
「・・・nothing on you・・・」

求めていた返事が返ってきて、俺は薄く笑みを浮かべる。
強引に進めれば、ジムの方が折れる事を知っている。
だから俺はそうするし、そうやってジムを手に入れたんだ。今更変えるつもりはない。
それに今日は俺の誕生日。少しくらい強引にしたって、俺の恋人は怒らない。何故ってそれは、

(俺のこと、好きだからだよな)

辿り付いた答えに、俺はジムへと満足げに笑いかける。
今日はまだ始まったばかり。本当のプレゼントを貰おうと、俺は大事な恋人へと手を伸ばしたのだった。


* * * * *

同棲設定ヨハジム第二弾でしたー。
ヨハンは気まぐれな性格だから、会いたい!と思った時にすぐ会えるように、と考えて
付き合い始めたら真っ先に「一緒に暮らそうぜ!」って言うといいんじゃないかなとか。

最後の一言は君には敵わない、っていう意味合いで使われてたのをみたので・・・
英語苦手なのでこれで合ってるのか不安ですけども。

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