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万丈目さん誕生日おめでとうございます!
ということで書いてみた十万です。




* * * * *


 

「まんじょうめー」
「…」
「なあ、万丈目ってば」
「……」
「なーなー」
「…五月蝿い!!」


デッキの調整をしているところに十代がやってきたのはつい数分前の事。
部屋に入ってきたのはいいが、俺が相手をしない事に不満を持ったらしいこの男はしきりに話しかけてくる。
こちらは集中したいのに、それもお構いなしにだ。だからつい大声を上げてしまった。
じろりと睨み付けても、十代はへらへらと笑ったまま。

「ようやくこっち向いたな!」
「貴様が五月蝿くて仕方ないからだろうが!」

目が合うと、目を細めて嬉しそうに笑う十代。その表情は嫌いではない。…が、それとこれとは話が別だ。
許してしまいそうになったその考えを振り払うように、俺は再度睨み付けた。

「睨んだって俺は気にしないぜ?だって万丈目が俺の事ずっと見ててくれるわけだし」
「…」
「さて、ようやく言えるな!誕生日おめでと!」
「……は?」

十代の言葉に、睨んでいた筈の俺は驚きに目を瞠る。
意味を理解すること数秒。漸く、今日…8月1日が誕生日だと思い出した。
だからこいつはここにやってきたのかという事も理解し、なんて馬鹿な奴だと呆れる番だった。

「やっぱり忘れてたな。万丈目らしいけど」
「…そんな事を言いに来たのか」
「何言ってんだよ、大事なことだろ!恋人の誕生日だし!」
「なっ、」

何を馬鹿なことを、と大声を上げてやろうとした瞬間、十代に引き寄せられて唇を塞がれた。
何度も何度も角度を変えて行われるそれに頭がくらくらする。
離せと言おうにも何も言えないまま、されるがまま。
漸く解放された時には息が上がって何も言えなかった。


「万丈目、誕生日おめでと。プレゼントはこれ…だけじゃないけど」
「なに…」
「へへ、何かってのは秘密!」

ぎゅう、と力いっぱいに抱き締められて抵抗も何も出来ない。
文句を言うにも何を言おうとしていたか忘れてしまい、俺は十代に抱き締められたまま。

(礼を言うガラでもないし、)

仕方ないから、もう少しだけこのままでいてやろう。
十代の体温が心地良いだとか、ずっとこのままでいたいとか、そんな事は決して言ってやらないけれど。

 


* * *

万丈目さんおめでとうございます記念。

ついったのお題で十万を入れてみたときに、
寝ぼけてキスをした/離れたくない、離したくない/もっと俺に構えよ
というのが出てきたので、構ってほしい!っていう
十代くんを書こうと思って書き始めたらこうなってました。
製作時間30分クオリティだから仕方ないね。
なので題名は離れたくない~のほうで。

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