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ついったでリク下さったかさのさんに捧げます、
遊馬+風也はなしです。
どぞ受け取ってやってくださーい!

 


 




 


* * * * *

今年の夏休みが始まった。
毎年、仕事のスケジュールだらけで休みがあまりなかった僕だけど、今年は違う。しっかり休みはとってある。
(遊馬と会えるんだ)
はじめて出来た僕の友達。
夏休みに入ってからすぐ、遊馬から連絡が来た。

「夏休みなら風也も仕事休みあるよな?遊びに行こうぜ!」

まさか連絡が来るなんて思ってもいなかった僕は大層驚いたものだけど。
もちろん断る理由なんてないからと快諾すれば、すぐに予定は決まった。

(楽しみだけど、緊張する)

明日寝坊しないといいけど、とほんの少しの不安を抱きながら、僕は眠りについた。

 

 

「いないな~」
「そ、そうだね…」

見渡す限りの緑色。
カブトムシを捕まえられる場所があるといった遊馬に連れられて、僕は見知らぬ土地にいる。
日よけに帽子を被り、先を進む遊馬に遅れないよう歩くので精一杯。辺りを見回して探す余裕なんてなかった。
(体力はあると思ってたのにな)
きつい仕事だってなんとか乗り越えてきたのだからこれくらい、とは思うけれど、僕の意思に反して身体の動きは鈍くなるばかり。
ふらふらと頼りない足取りで彼の後を追う事しか出来なかった。

「姉ちゃんに調べてもらった穴場なのになー…風也の方はどうだ?」
「……」
「…風也?っ、だ、大丈夫か!?」

名前を呼ばれたのに返事が出来ずにいると、遊馬が慌てて駆け寄ってくる。

「…ゆうま」
「風也!ええと、あ!あそこなら木陰になってるし一旦休もう!」
「…ありがとう」

僕はちゃんと笑えているだろうか。
心配させたくなくて笑みを浮かべたものの、うまく出来ているか分からない。現に遊馬は顔を歪め、辛そうな顔をしている。
罪悪感でいっぱいになりながら、僕は遊馬に支えられて木陰へと移動した。
日が当たらないだけでこんなにも違うのか、と改めて思う。ほっと一息ついたところに、横からペットボトルを渡された。

「ごめんな、風也」
「遊馬は悪くないよ…体力ない僕が悪いんだもの」
「でも…」

それを有り難く受け取り、早速飲もうと蓋を開ける。一口飲めば、からからだった喉が潤っていく。
その様子を隣に座った遊馬がじっと見ていた。眉尻は下がり、落ち込んでいるのが丸分かりだ。
(遊馬は悪くないのに)

「ねえ、遊馬」
「…ん?」
「謝らないで…僕は遊馬と会いたかったし、遊びたかった。だから二人で出かけるのが楽しみで仕方なかったんだ。だから…」
「風也……そっか、よし、分かった!」
「遊馬?」

僕の言葉を聞いた遊馬は、何かを思いついたように勢いよく立ち上がる。
そうしてから、大きく伸びをし、よし!と気合いをいれる。一体どうしたんだろう?

「風也!」
「はっ、はい!」

ぼんやり見上げていたところで名前を呼ばれ、思わず返事をしてしまった。
目が合うと遊馬は嬉しそうに笑う。そう、友達になろうと言ってくれた時のような笑顔。
つられて僕も笑ってしまう。遊馬の笑顔はきらきらと輝いているから、一緒に笑いたくなる。

「じゃあ、これからも遠慮しないで誘うからな!…今日はちょっと失敗したけど…」
「ふふ、そうだね」
「笑うなよ!とにかく、これからもよろしくな!」
「…うん、こちらこそ」

しっかり握手をして、二人で一緒に笑いあう。
こんな風に、友達と約束したり笑ったりできるなんて想像もしていなかった。
遊馬のおかげで僕の世界は一変した。
僕も彼のいる輝く世界に足を踏み入れたんだ。
できる事ならずっとずっと…

(だから…よろしくね、遊馬)

そう決意して笑みを浮かべ、僕は遊馬の手をしっかりと握りしめたのだった。

 


* * *


友情ものって難しい・・・
って書きはじめてから気付きました。遅い。
夏休みネタで!ということで、無難にプールかなあ、と思ったけど
それじゃ話が終わらない気がしたのでこうなりました。
遊馬くんって夏休みには毎年虫捕まえにいってそうなイメージ。

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