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FE覚醒第二弾、クロムとソールさんです
ソールさん誕生日おめでとうございます!!の気持ちを込めて。
ソールさん誕生日おめでとうございます!!の気持ちを込めて。
* * * * *
「ソールは居るか?」
訓練所へやってきた早々名指しで僕の名前を呼んだのはクロムだった。彼が僕に用事なんて珍しい。
「どうしたの?」
「ああ、いたか。これを受け取ってくれ」
「??」
大きな包みを渡されて、何なのか聞く前にふわりと漂う香り。
それが何なのか、大体の予想がついた途端にお腹がなる。それを聞いたクロムには当然ながら笑われた。
「まったく…分かりやすいな、お前の胃袋は」
「だって仕方ないよ、お腹すいてるんだから」
「ま、その方が作ってきた甲斐があるってもんだ」
そう言ったクロムは破顔する。クロムの笑顔は男らしくて、ひそかに憧れている。
(やっぱりかっこいいなあ、うちの王子様は)
けれど今は見惚れている場合じゃない。渡された包みを開くと中にはおにぎりが詰まっていた。
さっきのクロムの言葉から察するに、これは…
「クロムが作った…の?」
「ああ。初めてにしては上出来だろう」
「まあ、握るだけだしねえ」
笑ってそう言えば、クロムはそうか?と首を傾げる。
「綺麗な三角にするのは中々難しかったぞ?」
「あー…そっか、そもそもクロムはご飯作った事なんてないか…」
「ああ。握り飯だけとはいえ、初めての経験だ」
楽しそうに笑うクロムはやっぱりかっこいい。
自分が仕える王子様におにぎりを作ってもらうなんて、考えてみればすごい事じゃないだろうか?
(…あれ?)
そもそも、何故彼は僕に差し入れをしてくれたんだろう?基本的な事に漸く気付いて、僕は慌てて質問をする事にした。
「あのさ…」
「ん?」
「何でこれを僕に?」
するとクロムが呆れた表情を浮かべた。
何かおかしな事を聞いただろうか。だって、差し入れをもらう理由が見つからない。
「お前…忘れてたのか。ソールらしいといえばらしいが」
「ええ?」
「今日はお前の誕生日だろう?」
「……あ!」
言われて成る程合点がいった。クロムが呆れたのもよく分かる。
自分の誕生日を忘れているなんて…我ながら抜けているなあとも思う。
けれど言い訳をさせてもらえるなら、最近はずっと忙しかった。
平和を守るための戦いの最中で、自分の誕生日なんてすっかり抜け落ちていたのだ。
けれど、誰よりも忙しいのは間違いないクロムが僕の誕生日を覚えているなんて。
それが何よりも驚きだった。
「驚いてもらえたなら何よりだ」
「あ…、そ、そりゃあ驚くよ!だってクロムが!」
「仲間の事を覚えているのは当然だ…と言いたい所だが」
僕の様子に気をよくしたのか、クロムは再度笑みを浮かべる。
そうしてあっさりと種明かしをしてくれた。
「リズから聞いたんだ。それに、俺からのプレゼントよりも、皆の用意しているものはもっとすごいぞ」
「…すごいもの?」
クロムが覚えていた訳ではない、そう聞いてちくりと胸が痛んだ、ような気がした。
けれど考えるのは後回しにして、今は話しの続きが気になった。僕が促すと、ああ、とクロムは楽しそうに話を続けてくれる。
「今日の夕食は皆が腕によりをかけて作るそうだからな。実は、俺も楽しみにしているんだ」
「本当!?ご馳走かあ…」
ご馳走と聞いただけで再びお腹がなった。
クロムは呆れたようにまったくお前は、と呟いてから
「ご馳走の前に、それもちゃんと食べろよ」
結構自信作なんだからな、と僕の肩を叩く。楽しげな様子はそのままに、クロムは僕に背を向けて部屋を出て行った。
残されたのはまだ温かさが残るたくさんのおにぎり。
ご馳走が楽しみなのはもちろんだけど、目の前にあるおにぎりを食べるのはもっともっと楽しみだ。
(だって、クロムが僕の為に作ってくれたんだもんね)
リズから話を聞いたとはいえ、クロムが僕の為だけに作ってくれたもの。それだけで心があたたかくなる。
食べるのが勿体ないとも思ったけれど、僕の胃袋はさっきから空腹を主張している。
だからありがたくいただくのが一番だ。
そう結論づけてから、僕は部屋の隅にある椅子に腰かけてから大きなおにぎりを手に取り食べ始めた。
「うん、おいしい」
少し…いや、結構、塩気が効きすぎている気もするけど。
けれどクロムは初めて作ったと言っていたし、何より僕の為だというだけで美味しさが増すのだから不思議なものだ。
(…あ、そういえば、)
驚きのあまり、お礼を言うのを忘れていた。
食べかけのまま行くのも嫌だし、今から追いかけたところでクロムが捕まるとも思えない。
お礼は夕食の時にしよう、そう心に決めてから僕は世界一おいしいおにぎりを食べる事に専念したのだった。
* * *
完全にクロム←ソールです。
無自覚にクロムに憧れてるソールさんって可愛いと思うんですがどうでしょう…。
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