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調子にのってクロソルふたたび。
ソールさんがとても乙女ですご注意。





* * * * *



「見事に寝ているな…」

すうすうと寝息を立てて眠っているソールを見て、思わず笑みが零れる。
もうすぐ夕飯だというのに、普段なら真っ先にやってくる姿が見えず、仲間たちが普段寝ている天幕まで探しに来たらこの有り様だ。
訓練後の休憩でもしていたのだろう、鎧も外してリラックスしているのが分かる。
敵に襲われたらどうするつもりだ、と注意しなくてはと思うのに、口から出た言葉はまったく違うものだった。

「ソール、飯だぞ」

寝ているソールの耳元でそう囁けば、ソールの口の端があがる。

「ごはん…」

寝ているにも関わらず、飯関連の事となると反応する様子を見ると、なんて食い意地が張ったやつだ、と苦笑するしかない。
けれど、それ以上に可愛らしいと思ってしまうのは俺がソールに好意を寄せているからだろうか。
それとも、寝顔が普段以上に幼く見えるせいだろうか。
このままじっと眺めていてもソールは起きないだろう。
だったら、と気付かれないのをいい事に吸い寄せられるように口付けてから、俺はその場を去ろうと立ち上がった。
けれどもそこで、クロム、と名を呼ばれる。
視線を向ければそこには当然ながら横になったままのソールがいて、先程まで閉じていた筈の瞳が動揺したように揺れていた。

「……ええと、いまの…」

いつから起きていたのかは分からないが、俺が何をしたのかは理解しているようだ。
何を言ったところで言い訳にしかならないと分かっている。
だから俺はソールにしっかりと向き直り、頭を下げるしかなかった。

「すまん」
「…何で謝るの?」
「不意討ちは卑怯だと思ったからな」

謝罪の言葉とその理由を告げれば、起き上がったソールはなんとも情けない表情を浮かべた。

「……それだけ?」
「?ああ、それだけだが」

何かおかしな事を言っただろうか。
自分の言葉を反芻してみても、どうしてそんな反応をするのか分からなかった。
俺が不思議がっている事に気付いたのか、ソールは恐る恐る、といった様子で話しかけてきた。

「ええと…、何で僕にキスしたのかな~って…」
「ソールが好きだからに決まっているだろう」
「え、え、ええええ!?」

質問に答えれば、ソールは驚きの声を上げる。
そこで漸く合点がいった。俺はソールに好きだと告げていないのだ、驚くのは当然だ。
今更気付くなんて、俺も相当焼きが回ったものだ。
好きだと言う前にあんな行動に出たら、嫌われてもおかしくはない。
目の前にいるソールは驚いているだけにしか見えないが…

「ああ、別に無理に考えなくていい。これは俺の勝手な気持ちだから」
「ち、違うよ、そうじゃなくて」

受け容れなくても良いと告げれば、ソールは驚いたり照れたり困った顔をしたりと、ひとり百面相をしている。
そうやっている姿は微笑ましいものだな、と眺めているとソールは顔を赤く染め、あの、僕も好きです、と呟いた。
驚くのはこちらの番だった。

「ソール…無理はするなと、」
「無理とかじゃなくて!僕は前からクロムのことが、その…好きだよ。だから、今回のことはびっくりしたけど、それ以上に嬉しかったっていうか…」

どんどん声が小さくなっていたが、ソールの告白はしっかりと俺の耳に届いた。
聞き間違えではなく、ソールが俺を好きだと言ったのだ。
それはつまり、

「もう一度してもいいか」
「!?」
「俺達は両思い…ということだろう?なら問題ない筈だが」
「え、あ、えええと…そ、そうなる、かな…?」

俺の質問に、ソールは真っ赤になって慌て出した。
その姿が愛らしくて、俺は返事も聞かずにソールの口を塞いだのだった。


* * *

クロムがちょっと押せばソールさんはあっさり陥落するんじゃないかなとか
そんな二人が見たくて書いてしまったおち。
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