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そるとさんに捧げるエリシュミでっす
どうぞお読みくださいませー!
 



 



* * * * *

ミーティングルームには僕と彼の二人きり。
リーダーからは友人のところへ遊びに行くという言伝があったし、アドルフとヘスラーも何処か観光へでも出かけているのだろう。
珍しく、この場所には僕とシュミットの二人だけが残っていた。
美味しいと言ってもらえるように必死で淹れた紅茶を持っていくと、遅い、と言わんばかりに睨まれる。
けれどその表情も紅茶のいい香りに気を取られて直ぐに消えた。
今日こそは喜んでもらえるといいけれど、と苦笑しつつテーブルにティーカップを置いた。
 
「……80、といったところか」
「合格…ですか?」
「そうだな。お前にしては頑張った方じゃないか?」

予想外に高得点。
シュミットは満足げに微笑み、再び紅茶に口をつける。
僕は一緒に持ってきていた自分の分を彼の向かい側に置いて椅子に座り、おそるおそる自分の淹れた紅茶を飲んでみた。
(美味しい)
飲むと同時に、ふんわりと甘い香りが鼻腔をくすぐる。
リーダーのお気に入りであるというその紅茶は、初めて淹れた時とはまったく違ったものだった。

「どうだ?」
「…はい、美味しいです」
「ああ、これならリーダーに出しても問題ないだろう」

自分の感想を述べると、シュミットは嬉しそうに頷いてから再度紅茶に手を伸ばす。
どうやら本当に喜んでもらえたらしい。
緊張が解れてそっと溜息を吐くと、彼の視線がこちらへと向いた。

「なんだ、その溜息は」
「いえ、シュミットに喜んでもらえてよかったなあと思って」
「よろこ…違う、俺は安心しただけだ」
「そうですか?」

それにしては嬉しそうな表情でしたけど、と言ってからはたと気付く。つい口が滑ってしまった。
みるみるうちにシュミットの表情が不機嫌そうなものへと変化していく。
失敗した、と思った時にはもう遅い。

「…まだ満点というわけじゃない。もう一回だ」
「えっ?」

今のように不機嫌になったシュミットは、突然話題を振ってくるのが当たり前。
判っていたのに反応が遅くなり聞き返すと、やはりというか睨みつけられた。

「聞こえなかったのか?もう一回淹れてこいと言ったんだ」
「でも、」
「何だ、文句でもあるのか」
「文句というか、茶葉がもうないんですが…」

言いにくい事ではあったものの、伝えなければならない事・・・それは茶葉がない、という事だった。
ここ一週間ほどは毎日のように紅茶を淹れ、シュミットと二人で飲むのが習慣になっていた。
習慣というよりはただの特訓。リーダーに失礼のないように、とシュミットに紅茶の淹れ方を習っていただけ。
僕にとってみれば、シュミットと二人で過ごす時間が何よりも幸せだったので、文句などあろう筈もない。
けれどその『毎日の特訓』がまずかったのか、今日淹れた分で丁度茶葉が切れてしまったのだ。
(毎回淹れ直してましたし、ねえ・・・)
その言葉を聞いたシュミットは何か言おうと口を開いたものの、何も言わずに大きな溜息を吐いた。

「・・・・・・」
「ええと、僕が買いに行って来ますから、それまで待っていてもらえますか」

表情だけでなく醸し出すオーラまでも不機嫌なシュミットをこれ以上怒らせるわけにも行かず、提案を出す。
するとシュミットは再度僕を睨みつけ、2度目の溜息を吐いてから口を開いた。

「何故俺が待たなければならないんだ」
「ですから僕が茶葉を買ってくるので、」
「俺も行く」

がたん、と大きな音を立てて椅子から立ち上がるシュミット。
僕は告げられた言葉の意味が理解出来ずに彼を見上げる。すると思いっきり眉間に皺を寄せたシュミットと目が合った。
何か言おうと口を開く前に腕を引っ張られて無理やり立たされる。そうして、

「俺も付き合ってやる、と言ったんだ。早く行くぞ」

言うが早いか背を向けて歩き出すシュミット。彼の背中を数秒見つめてから我に返る。
(シュミットがまさか買い物に付き合ってくれるなんて、)
予想外の展開に頭が驚いたものの、つい頬が緩む。
けれどその間にも彼との距離はどんどん開いていくことに気付いて、慌てて声をかけた。

「あ、待ってくださいシュミット!」
「早くしろ、俺は待たないからな」

振り返ったシュミットはどこか楽しそうに笑っていて、先刻までの不機嫌な表情は何処へやら、だ。
何故かは判らないが彼の機嫌も直ったようで安心した僕は、片付けもしないまま彼の後を追うことにしたのだった。


結局その事が原因で特訓していた事がリーダー達にばれてしまったのが残念だったけれど。
(また二人で紅茶を飲む機会を作ろう)
そう決意して、その後も一人で特訓を続けた僕だった。
 
 
 
* * * * *
 
そるとさんに捧げるエリシュミでした!
素敵なレツゴ本のお返しになってるといいなと願いつつ…!
エリシュミって
へたれエーリッヒと俺様シュミットさまってイメージです。
イケメンエーリッヒを想像してたら申し訳ない…!

 
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