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遊戯さんサイドの十表。
1/2と対になっています。




* * * * *

「十代くん」
「?何ですか、遊戯さん」
「…ううん、何でもない」

好き、その一言がとてつもなく恥ずかしくて言えなかった。
誤魔化すのは得意じゃない。だからただ首を振って曖昧な返事をかえすだけ。
すると十代くんはじっとこちらを見つめた後に、突然ボクを抱きしめた。

「十代くん?」
「俺も何でもないです、こうしたかっただけです」
「…そっか」

驚いて見上げれば、心配するようにこちらを見つめる十代くんと目が合う。
申し訳ないと思うのと同時に、嬉しさが込み上げてくる。彼は今、ボクだけを見てくれているから。

(ああそうか、)

それだけでいいんだ。
好きな人と一緒にいて、心配してもらって、抱きしめてもらって。
ただそれだけで、こんなにも嬉しいと思う。幸せだと思う。十代くんに会うまでは知らなかった事ばかり。
教えてくれた十代くんにお礼を言いたいくらい。

けれど感謝の気持ちを直接伝えるのはやっぱり恥ずかしいから、代わりに自分からも抱きしめ返しておこう。
そうすればもしかしたら、気持ちが伝わるかもしれない。

言葉で伝えるには、まだまだ時間がかかりそうだけど。


(それまで待っててね、十代くん)



* * * * * * * * * *

付き合い始めた頃の話。
思った事をすぐ口に出す十代くんとは違って
遊戯さんは言い出せないと思うのです。



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