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遊戯さん大好き十代くんの話でした。
* * * * *
「遊戯さんっ!!」
壊れそうな程の勢いで扉を開いて勢いよくやってきたのは、ウチの常連とも言える十代くんだ。
世界各地を回っている彼がここに来るのは実に一ヶ月ぶりで、いつもなら扉が壊れるからと怒るところをつい、笑ったのが失敗だった。
十代くんはその勢いのままレジの前までやってきて嬉しそうに笑みを浮かべ、可愛らしいラッピングがされた袋を取り出して
「遊戯さん、これ、先月のお返しです!」
自信満々にそう言った。
日曜日の昼間という、一番混雑する時間帯。
周りにお客さんのいる、目の前で。
そう、ボクに言ったのだった。
「十代くんのばか…」
「…すいません…」
仕事が終わってすぐに、ボクは部屋へと閉じこもった。
あの、十代くんの大告白の後のボクといったらなかった。
慌てるあまりにカードは落とすわレジで金額を打ち間違えるわで、正直、使い物にならなかったといっていい。
見かねたじいちゃんが仕事を変わると言ってくれて、その言葉に感謝しつつボクは部屋へと駆け込み鍵をかけた。全ての元凶である十代くんは放置しておいた。
そうして、部屋の鍵をかけられて入ってこれない十代くんは、部屋の前で立ち往生している、というわけ。
(そりゃあ、十代くんがちゃんとホワイトデーを意識して帰国してくれたのは嬉しいけどさ、)
どうして店の中で、しかもあんなに人がいる時間帯にやらかしてくれるんだろうか、彼は。
十代くんは真っ直ぐな気性の持ち主で、ストレートに感情を伝えてくる。それが嫌いというわけじゃない。
ボクは彼とは正反対で、言いたい事を上手く伝える事が出来ないから、羨ましいとさえ思う。
それにボクは十代くんが好きで、だから先月、女の子じゃあるまいし、と思いながらもチョコを用意してしまったんだ。
だから多分…、十代くんもボクと同じように、プレゼントを用意してくれたのだろう。それは素直に喜びたいところ…だけど。
「何であんなところで言っちゃうかなあ…」
「俺…先月遊戯さんからチョコもらえたのが嬉しくて、浮かれちゃって。だから俺も遊戯さんに喜んでもらおうって思って、つい…」
すいませんでした…と、小さな声で2度目の謝罪。
声がくぐもっているのは、扉の前で座りこんで、膝を抱えてたりするんじゃないだろうか。何だか簡単に想像できる。
恥ずかしい目に合ったのはボクだというのに、こちらよりも落ち込んでいそうな十代くんの声が気になって、溜息を吐いてから鍵を開けた。
そっと扉を開ければ、予想通りの膝を抱えて座り込んだ十代くんの姿。
仕方ないなあ、と目の前に座ってからそっと頭を撫でる。
すると驚いたように十代くんが顔を上げ、目が合った途端にぱあっと辺りが輝くような笑顔を見せた。
「遊戯さんっ!」
「え、うわっ!?」
その笑顔に油断していた。
勢いよく飛びついてきた十代くんに押し倒される形で抱きつかれ、頭を打った。
文句を言おうにも、抱きついてきた本人が心底嬉しそうにしているのを見ると、勢いが削がれる。
(ああもう…甘すぎ、だよね)
落ち込む十代くんを見ると助けてあげたくなるし、
ボクを好きだと言って嬉しそうにしている十代くんを見ていると、抵抗する気がなくなる。
これはどう考えても甘すぎる。
ペットを可愛がる人をペット馬鹿というけれど、それじゃあボクは十代くん馬鹿という事になるんじゃないだろうか?
どうしたものかと思っても、
「遊戯さん、やっぱり俺、遊戯さんが好きです!」
「…ありがと」
満面の笑みでそう告白され、つい笑みを返してしまうのだから、どうしようもない。
* * * * * * * * * *
十代くんの遊戯さん大好きっぷりにやられて
気付けば十表にハマってました。
敬語の十代くん萌え。
今更ですが
十代くんは世界各地を回っていて、
遊戯さんはじいちゃんのお店で働いています。
通い妻ならぬ通い夫をしてる十代くんです。(笑)