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幻水3、ジャックとヒューゴ。
どマイナーなのはわかってるけど気にしない!



* * * * *

「…あ」

目に入ったのは、小麦色の肌をした少年。
右手に炎の紋章を宿した小さな英雄…ヒューゴだった。


声をかけようと思ったけれど、急ぎ足で歩いているヒューゴを呼び止めるのも憚れる。
きっと軍師の奴らに呼ばれているのだろう。どこか疲れた足取りなのが分かった。
そう考え直して思い止まり、上げかけた手をおろして溜息をついた。

(…何か、俺に出来る事があれば)

そうは思っても、自分はただの傭兵。戦う事以外で役に立つとは思えない。
ヒューゴへの負担を減らす事が出来れば良いのに、とは思っても、何も出来ない自分が腹立たしかった。



「あれ、ジャックさん?」


ふと聞きなれた声が聞こえて我に返ると、目の前には不安そうな表情を浮かべたヒューゴが、いた。

「…ヒューゴ」
「どうしたんですか?何か悩み事でもあったんですか?」

あどけない、まだ幼さの残る表情で、ヒューゴは俺を見上げてくる。
その視線にどきりとする。彼の真っ直ぐな視線を受けると、どうも落ち着かない。

「…いや。何でもない」
「そうですか?なら良いんですけど…あ、そうだ」

何かを思いついたらしいヒューゴはパッと顔を輝かせる。そして、にっこりと微笑んで、俺の手を引いてきた。
子供らしい、暖かい手に触れられて、手が熱くなるのが分かった。
けれどヒューゴはそんな俺の変化に気付く事もなく。


「ジャックさん、今大丈夫ですか?」
「あ・・・あぁ」
「じゃあ、ちょっと付き合ってもらえますか?えっと、こっちです!」



そう言って、俺の手をぐいぐいと引っ張っていくのだった。


(…まぁ・・・いい、か)






「はい、到着です!」
「…ここは」

ヒューゴに連れられてやってきたのは、見慣れた場所だった。
辺りには芝生が広がり、心地よい風が吹いている。城の穴場とも言える、昼寝に最適の場所。
ここでヒューゴが昼寝をしている姿を何度も見かけた。

俺をここに連れてきたという事は、つまり。

「…昼寝、するのか?」
「はい、そうです」

手は繋いだまま、俺を見上げるヒューゴは満足げに笑う。
その姿は可愛らしい、としか言い様がなかったし、そんなヒューゴの表情を見れたのは嬉しかった。
…けれど。

(…忙しいんじゃあ、なかったのか?)

俺が見た、あの忙しそうな様子は何だったのか?そう思って、首を傾げる。
すると今度はヒューゴが首を傾げる番だった。目を瞬かせ、俺の様子を不思議そうに見ている。

「どうしたんです?」
「…いや」

見上げてくるヒューゴに心配をかけまいと、俺は薄く微笑んだ。
そうしてから、ふるふると頭を振って、俺は頭に浮かんだ疑問を打ち消した。

(仕事があったら、俺の所に来てくれるはずがない。きっと…、俺の勘違いだ)

そう思い直して、先刻から繋いでいた手を離した。すると案の定、ヒューゴは再び俺を見上げてくる。

「?ジャックさん?」
「…昼寝、するんだろう?」
「あ、そうでした!今日は良い天気ですから、ジャックさんもぜひ!と思って」

言いながら、丁度良い木陰へと移動して寝転がるヒューゴ。俺もその後に続いて腰を下ろした。

「じゃあ、おやすみなさい」
「・・・あぁ、おやすみ」

そう呟いてから、ヒューゴは目を閉じる。
俺は寝る気になれなくて、もう少しだけヒューゴを見ていようと思った。


(何も出来ないけれど…これくらい、なら)


休んでいる時くらいなら、俺が護れる。そう思いついて、俺は満足げに微笑んだ。



* * * * * * * * * *

この後、シーザーが怒りながらヒューゴを探していると良いなぁ!
(会議あったのにサボったヒューゴ)
(そして寝てるのを発見してよけいに怒らせる結果に)
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