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幻水5、シグレ主 6話目。
サギリからの質問。
サギリからの質問。
* * * * *
今日一日の戦いも終わり、ようやく寛げるとばかりにソファに腰掛け、キセルを取り出したその時。
「シグレって…王子様、好きなの?」
「…な、っ、」
寛げるはずの空間は、一瞬にして凍り付いた。
キセルを危うく落としそうになったが何とかとどまり、おそるおそる隣りに座っているサギリを見やる。
サギリはのんびりと、普段と変わらない表情のままだった。そうして、再び口を開いて心臓に悪い質問を繰り返す。
「好き、なの?」
「…んな事、知るか」
ようやく出て来た言葉は掠れていて、弁解にもなっていなかった。
オレの返答を聞いたサギリは納得したように何度も頷くだけ。
(あぁ、これは確実に…バレたな)
嫌な過去と、嘘臭い探偵業を営んでいるせいもあって、オレ達は他人の動きや反応に敏感だ。
だからだろう、サギリは簡単にオレの動揺を見抜き。
そしてオレは、サギリの反応を見て何もかも分かってしまったのだと観念するしかなかったのだ。
「王子様、素敵だもんね」
「…ただのめんどくせー奴じゃねぇか」
観念した途端、サギリは嬉しそうに微笑んで王子を褒めたたえる。
サギリが王子と話している姿は、最近よく見るようになった。
何があったのかは話さないから分からないが、どうもあの王子様を大層気に入ったようで、僅かながら…表情が明るくなったのだ。
それが喜ばしい事は事実で…しかし、それと同時に胸の中に焦燥感が生まれたのも事実。
思わず舌打ちすると、サギリはくすくすと笑い出した。
「…何だよ」
「シグレ、分かりやすい」
「……あー…かもな」
否定するのも面倒になり、オレは頭を掻きながら頷いた。
我ながら、本当に分かりやすい行動をしていると思う。
「ねぇ」
「…何だよ」
今度こそ観念して、サギリに視線を送ると…驚いた事に、サギリは笑っていた。
普段の、変化のない笑顔ではない。
そう、ただ純粋に…嬉しそうに笑っていた。
見間違いじゃないかと目を擦ってみても、見えるものは変わらない。
オレは驚いて、何と言ったら良いのか分からなくて目を白黒させるばかり。
「サギリ、お前」
「応援してるから」
オレの言葉を遮るように、サギリの真っ直ぐな言葉がやってくる。
そんなサギリを見るのも初めてで、驚きの連続だった。
「…はぁ?何を」
「シグレと、王子様。仲良くなれるって、信じてるから」
そうしてやってきたサギリの言葉も、やはり驚くものでしかない。
(しかも…何を考えてんだ、サギリは!)
止めろとか諦めろとか…否定の言葉ならまだしも、肯定、しかも応援までされるなどとは思いもよらなかった。
「…あのめんどくせー奴と、オレが?」
「うん。だから…頑張って」
確認してみても、サギリの言葉は変わらない。
サギリがここまで自分の意見を押し通す姿を見るのも久しぶりで、それだけあの王子の影響力というのは強いのか、と感心しきりだ。
そして、そんなサギリの言葉にオレが勝てる訳もなく。
「……嫌だっつっても無駄なんだろ」
「うん」
再度確認すると、サギリは嬉しそうに笑ったまま、深く頷いた。…これは本当に、観念する道しか残されていないらしい。
「………分かった。適当にやってやる」
「適当じゃ、だめ。本気になって」
「……マジかよ…」
オレの言葉をあっさりと否定して、サギリは言葉を曲げようとする様子もない。
自分の妹はいつの間にこんな性格になってしまったのだろうか、と頭が痛くなる。
それと同時に、オレ達をここまで変えた張本人に何と言ったら良いものか、考えるだけで更に頭が痛くなった。
* * * * * * * * *
シグレ、サギリに負けるの巻。
大事にしているからこそ、サギリの言葉は無視できないシグレ…ってのが良いと思うのです。
…ってそれじゃシグレ×サギリ?
兄妹も好きですが、当サイトではシグレ×王子+サギリを一番に応援しております。
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