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ときめもGS2、ハリーと主人公の話。
主人公の名前は「さくら」になります。


* * * * *

見慣れた後ろ姿を見つけたオレは、気付けば嬉しさのあまり駆け寄って声をかけていた。

(だってそうだろ、)



「オッス、 さくら」
「あ。オッス、コウ」
「これからどっか出かけ…って、コウ?」

挨拶もそこそこに、どこに行くのかと尋ねようとしたがそれは叶わなかった。
聞き慣れない言葉に首を傾げると、さくらは薄らと頬を赤らめ、ふわりと笑って言った。

「あ、うん。ハリーじゃなくてね、特別な呼び方というか、名前で呼びたいなぁと思って。…あれ、だめだった?」

遠慮がちにオレを見上げるさくら。
それだけで顔が赤くなってしまうオレは、さぞかし情けない男だと思う。
けれどそんなの仕方ない。

(だって、好きになっちまったんだ)

この感情を認めてからオレは以前より少しだけ大人になれたんじゃないか、と思う。
そんな事を考えながら、オレはさくらの言葉に苦笑してから首を振った。

「や、別にだめじゃねぇけど…」
「ほんと?良かった~」

安心したように笑うその姿があまりにも可愛くて、思わず抱き締める。
すると当然の如く、さくらは驚きの声をあげ…けれど、嫌がる素振りはなかった。

「わ!?は、ハリー!?」
「…ハリーじゃ、ねぇだろ」

ぎゅう、と抱き締めてしまえば、顔が赤くなっている事もばれない。
そう思って抱き締めたままさくらの耳元へと囁いた。

「え」
「もっかい、コウって呼べ」
「え…と、コウ?あの」

戸惑うような、さくらの声。よくよく見れば、さくらの顔もどんどん朱色に染まってゆく。

(なんだ…オレだけじゃ、ねぇんだ)

緊張しているのは相手も同じだったんだ。
そこで漸く体を離し、オレとさくらは真っ直ぐに向き合った。

「もっと。オマエに、名前で呼ばれたい」
「う、うん…コウ。」

真っ赤な顔のまま、さくらに名前を呼ばれる。聞き慣れない言葉なのに、何故だかすっと心に残り、オレは満面の笑みを浮かべた。

「やっべ、すげー嬉しいかも」
「コウ?」
「名前で呼ばれんのはゼッテェ嫌だって思ってたけど、オマエならいいや」

笑いながらそう言うと、さくらは何度も目を瞬かせる。
言ったらどんな反応が返ってくるか、考えてもいなかったのか。…まぁ、こいつらしいけど。

「そうなの?」
「あぁ。だから…その」

(これからも、ずっと)

先を言えずに口篭ると、さくらは赤い顔のまま、分かったとでも言うようにこくりと頷いて。

「うん、呼ぶよ。これからずっと」
「そっか。…サンキュ」
「ふふ、どういたしまして!」

その言葉が本当に嬉しくて、オレは再びさくらを抱き締める。
そうすると…ゆっくりと、さくらの腕がオレの背中に回ってきて。
驚いて見やると、照れくさそうに微笑むさくらと目が合った。
今のオレはきっと、こいつに負けないくらい顔を赤くしている事だろう。
けど、それでもいいかと思った。

(だって、幸せだし)

名前を呼ばれて、それだけで幸せになれるんだ。だったらそれでいいじゃないか。
自分なりの答えを導き出して、オレは抱き締める腕に力を込めた。



* * * * * * * * * *

ED後の二人、でした。
ハリーは言葉がすぐに出てこない分、態度で表わす子だと思います。
そんな訳で甘く出来上がった話。

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