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テニプリ・亜久津と巴です。
亜久津は巴に勝てない法則。

* * * * * 

「……」
「……」

無言でモンブランを食べる俺と、その様子を無言で見つめる巴。
先に根を上げたのは、情けない事に俺の方だった。

「…ジロジロ見んじゃねぇ」
「あ、すいません!」

俺の言葉にはっとして、巴は視線を逸らす。
しかし…その視線は再び俺の元へとやってきて、当然ながら巴と目が合った。

「……おい」
「いや~…だって、亜久津さん以外に見ていたいものがないんですもん」

巴はあっけらかんとした様子でそう言って、にっこりと笑う。
その答えが余りにも馬鹿馬鹿しくて、俺は盛大な溜め息を吐いた。

「馬鹿野郎」
「うぐ。何ですか、いきなり!」
「何でも何もねぇ、そのままの意味だ。馬鹿だろテメェ」

鋭い目つきで睨み付け、苛ついた声で文句を言ってやる(実際のところ、沢山の感情が詰まっているが言う気もない)。
…が、巴には全くもって効果はなかった。俺の言葉にむくれ、口を尖らせていたのだから。

「まぁ、それは否定出来ないんですけど…でも、理由も分からないのに馬鹿っていうのはひどいですよ!亜久津さんじゃなきゃ殴ってますよ、私」

大体、亜久津さんは…、と、どうやら何かのスイッチを入れてしまったらしい。ぶつぶつと文句を言い続ける巴。
薄々分かっていた事とはいえ、俺の睨みも何もかも、こいつには効かない。
やっぱり…馬鹿馬鹿しい。

「あーそうかよ」
「もう、聞いてますかっ亜久津さん!」

巴の抗議などは聞かなかった事にして、俺は止めていた手を動かし、目の前に放置していたモンブランを食べる事にした。

(お前なんかを好きになっちまった俺も、相当な馬鹿野郎だな)

巴の言葉も、その視線も。
すべては俺が相手だからこそ、なんて思う自分が馬鹿らしくて…俺は無言でモンブランを食べ続けたのだった。


* * * * * * * * * *

亜久津は天然な巴には一生勝てないと思います。
そんな二人が大好きです。
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