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幻水5、シグレ主 19話目。
王子とリオンの話。シグレは出てきません。
王子とリオンの話。シグレは出てきません。
* * * * *
「…王子、お聞きしたい事があるのですが…」
「…?どうしたんだい、リオン?」
神妙な面持ちのリオンに話しかけられ、僕は事務所へ向かおうとしていた足を止めた。
リオンが僕に質問だなんて珍しい事もあるなぁ…と、予想外の出来事に少なからず喜びながら、彼女の言葉を待つ。
すると、リオンは視線をほんの少しだけ泳がせて、言いにくそうにこう言った。
「王子は…シグレ殿と、お、お付き合いされていらっしゃるのですか…?」
そう、どこか恥ずかしそうに。
「……え、あの、」
まさかリオンの口から『お付き合い』なんて単語が出て来るなんて思いもよらなかった。
僕は驚きのあまり上手く返事を返せなくて、それを見たリオンも気まずそうに口篭る。
「あっ、あの、王子の気分を害するような質問だったのであればその、お返事はいりませんからっ…」
「え。えーとね、リオン」
「すっ、すみません!」
言いながら顔を真っ赤にしているリオンを見ていたら、驚きなんかを通り越して思わず笑ってしまった。
「そ、そんなに慌てなくても…」
「えっ」
「あはは、だめだ、リオン可愛すぎだよ…」
泣く子も黙る女王騎士見習いが真っ赤になっている姿なんて、滅多に見れるものじゃない。
リオンがこんなに慌てる姿を見れたのが嬉しくて、僕はひとしきり笑った。
対するリオンは目を瞬かせ、僕の様子を驚いた表情で見るばかり。
「お…、王子?」
「あ、ごめん!こんなに笑ったの久しぶりだったから」
「……」
リオンは何か言いたげに僕を見上げていたけれど、直ぐにいつもの真面目な表情に戻ってから口を開く。
僕も彼女に倣って背筋を伸ばし、真っ直ぐにリオンを見つめ返す。
こうしていればいつもの僕たちに元通りだ。…そう、リオンの質問がなければ。
「それで、その…お答え、いただけますか?」
「…うん。そうだね…」
けれどやっぱりリオンはリオンだ。
どんな時だって、気になる事があれば僕や仲間達にストレートに聞いてくる。
(それが今回は、恥ずかしいんだけど)
だからといって、真面目な彼女を疎ましいと思った事はない。
だって、彼女は僕の大事な家族なんだ。両親や妹、叔母、そして女王騎士の皆…そう、皆、大切な家族。
だからこそリオンには伝えなければならない。…僕の、大切なひとの事を。
「付き合ってる、というのかは分からないけど…シグレさんは僕の大切なひとだよ。家族とは違う好き、なんだと思う」
「王子…」
僕の告白に、予想はしていただろうに驚きを隠せない様子のリオン。
僕は恥ずかしさを誤魔化すように微笑んでから、おかしな話だけど、と続ける。
「自分でも馬鹿な事を考えてるなぁ、と思うんだけど…王子として生まれてきてよかったと思うよ。僕は王位継承者ではないから…シグレさんと一緒にいても咎められる事はないかなぁ、なんて思ってるんだ」
「えっ…」
「あ、もちろんリムには内緒だけどね?」
人差し指を口に当て、「秘密だよ」と呟くと、リオンは漸く笑ってくれた。
それを見て安心した僕も笑い返す。
それだけで、お互い考えている事は理解できた。
「王子」
「なに?」
「私は…王子が幸せであるのならば、良いと思います。多くの苦難を乗り越えて来た王子ですから…私は、王子に幸せになっていただきたいんです」
「…ありがとう、リオン」
そう言って笑い合って、ただそれだけで。
それだけで…僕はもう幸せだよって言ったら、リオンは何て言うだろう?
(驚くかな)
(驚くよ、きっと。でも)
考えるだけで嬉しくて幸せになれるから、実行に移すのはもう少しだけ、後にしよう。
* * * * * * * * * *
シグレがまったく出てこないシグレ主でした。
書き始めた当初は
リオンが暴走する予定でした、が今回はほのぼので。
こんな王子とリオンの関係が好きです。
「…王子、お聞きしたい事があるのですが…」
「…?どうしたんだい、リオン?」
神妙な面持ちのリオンに話しかけられ、僕は事務所へ向かおうとしていた足を止めた。
リオンが僕に質問だなんて珍しい事もあるなぁ…と、予想外の出来事に少なからず喜びながら、彼女の言葉を待つ。
すると、リオンは視線をほんの少しだけ泳がせて、言いにくそうにこう言った。
「王子は…シグレ殿と、お、お付き合いされていらっしゃるのですか…?」
そう、どこか恥ずかしそうに。
「……え、あの、」
まさかリオンの口から『お付き合い』なんて単語が出て来るなんて思いもよらなかった。
僕は驚きのあまり上手く返事を返せなくて、それを見たリオンも気まずそうに口篭る。
「あっ、あの、王子の気分を害するような質問だったのであればその、お返事はいりませんからっ…」
「え。えーとね、リオン」
「すっ、すみません!」
言いながら顔を真っ赤にしているリオンを見ていたら、驚きなんかを通り越して思わず笑ってしまった。
「そ、そんなに慌てなくても…」
「えっ」
「あはは、だめだ、リオン可愛すぎだよ…」
泣く子も黙る女王騎士見習いが真っ赤になっている姿なんて、滅多に見れるものじゃない。
リオンがこんなに慌てる姿を見れたのが嬉しくて、僕はひとしきり笑った。
対するリオンは目を瞬かせ、僕の様子を驚いた表情で見るばかり。
「お…、王子?」
「あ、ごめん!こんなに笑ったの久しぶりだったから」
「……」
リオンは何か言いたげに僕を見上げていたけれど、直ぐにいつもの真面目な表情に戻ってから口を開く。
僕も彼女に倣って背筋を伸ばし、真っ直ぐにリオンを見つめ返す。
こうしていればいつもの僕たちに元通りだ。…そう、リオンの質問がなければ。
「それで、その…お答え、いただけますか?」
「…うん。そうだね…」
けれどやっぱりリオンはリオンだ。
どんな時だって、気になる事があれば僕や仲間達にストレートに聞いてくる。
(それが今回は、恥ずかしいんだけど)
だからといって、真面目な彼女を疎ましいと思った事はない。
だって、彼女は僕の大事な家族なんだ。両親や妹、叔母、そして女王騎士の皆…そう、皆、大切な家族。
だからこそリオンには伝えなければならない。…僕の、大切なひとの事を。
「付き合ってる、というのかは分からないけど…シグレさんは僕の大切なひとだよ。家族とは違う好き、なんだと思う」
「王子…」
僕の告白に、予想はしていただろうに驚きを隠せない様子のリオン。
僕は恥ずかしさを誤魔化すように微笑んでから、おかしな話だけど、と続ける。
「自分でも馬鹿な事を考えてるなぁ、と思うんだけど…王子として生まれてきてよかったと思うよ。僕は王位継承者ではないから…シグレさんと一緒にいても咎められる事はないかなぁ、なんて思ってるんだ」
「えっ…」
「あ、もちろんリムには内緒だけどね?」
人差し指を口に当て、「秘密だよ」と呟くと、リオンは漸く笑ってくれた。
それを見て安心した僕も笑い返す。
それだけで、お互い考えている事は理解できた。
「王子」
「なに?」
「私は…王子が幸せであるのならば、良いと思います。多くの苦難を乗り越えて来た王子ですから…私は、王子に幸せになっていただきたいんです」
「…ありがとう、リオン」
そう言って笑い合って、ただそれだけで。
それだけで…僕はもう幸せだよって言ったら、リオンは何て言うだろう?
(驚くかな)
(驚くよ、きっと。でも)
考えるだけで嬉しくて幸せになれるから、実行に移すのはもう少しだけ、後にしよう。
* * * * * * * * * *
シグレがまったく出てこないシグレ主でした。
書き始めた当初は
リオンが暴走する予定でした、が今回はほのぼので。
こんな王子とリオンの関係が好きです。
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