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テニプリ・亜久津と巴の話。
亜久津、嫉妬するのまき。


* * * * *

「亜久津さんっ!遊びましょう!」
「…は?」

満面の笑みを浮かべてやってきた巴が持ってきたものは、一体何の冗談なのか。
何処かで見た事のあるような(あのうざったいオレンジ髪の男が持っていたような気がする)カードの束だった。




「…で?テメェは何がしたいんだよ」
「そんなの決まってるじゃないですか、このカードゲームで対戦ですよ!」
「ルールなんて知らねーぞ」
「大丈夫です!私が千石さんに教えてもらってきましたから!」

新しいおもちゃを見つけてきた子供のように、巴は笑みを崩さない。
遠慮は不要とばかりに俺の部屋へと上がりこんできて、持っていたカードを広げ始めた。
まるで自分の部屋のように寛ぐ姿を見て、嬉しいような虚しいような、複雑な気分に陥る。
そんな時に他の男の名前まで出てきたものだから、その気分は怒りへと変化した。

「……あーそーかよ、じゃあその馬鹿とやりゃあいいだろが」
「え」
「俺とやるより楽しいだろうよ。なぁ?」


言ってから、しまったと思った。
俺の言葉に巴は動きを止め、先刻までの笑顔はかき消える。
あぁ、俺もコイツに負けじと子供(ガキ)っぽいじゃねえか、そう実感して溜息を吐く。
けれど直ぐに謝るような素直な性格でもないし、どうしたものかと視線を逸らした。
(大体、あんな野郎の名前を出すコイツも悪い)
そう心の中で悪態をついて、自分を正当化しながら無言で煙草に手を伸ばす。
しかしその手が目的のものを掴む事は、なかった。

「煙草はだめですってば」
「………」

カードを手放した巴が、俺の手をしっかりと掴んで離さない。
どうしたものかと思っても、抵抗したところで無駄だ。仕方が無いのでそのままにしておく。
視線を手元から顔へと移せば、不機嫌そうな顔でこちらを睨みつけている巴と目が合った。

「亜久津さん、何で怒ってるんですか?」
「別に怒ってなんかいねーだろ」
「いーえっ、怒ってます!煙草を吸おうとしたって事は不機嫌な証拠です!」

巴の答えは的確で、俺は咄嗟に反論する事が出来なかった。
どうやらこのお子様は、変なところだけ俺の事を理解しているらしい。
だったら俺が不機嫌になった原因くらい分かりやがれ。この馬鹿が。

「……チッ」
「もう、亜久津さん!」

苛々した気分のまま巴の手を振り払うと、何も分かっちゃいないこの馬鹿女は頬を膨らませる。
コイツはやっぱり俺以上に子供だ。言わなければ分からない、けれどそんなの親切に教えてやるつもりはない。
だから俺は無言のまま、巴を見下ろしていた。…突然抱きつかれるまでは。

「っな、何してんだテメェ!」
「怒ってる亜久津さんを懲らしめようと思いまして」
「だからって何で抱きつく必要があるんだよ!離れろ!」

離れろ、と口ではそう言っても、突き放す事が出来ないのだから笑いものだ。
それを分かっているのか否か、巴は俺にしがみついたまま。
こちらを見上げてくる巴と目が合って、クソ、と小さく呟いてから再び視線を逸らす。
するとくすくすと小さな笑い声が聞こえ、からかわれているのだと気付いた時にはもう遅かった。

「やっぱり亜久津さんって照れ屋さんですよねっ!」
「うるせぇ!離れろ!」
「えー?亜久津さんが相手してくれるなら離れますけど…」

ぶつぶつと文句を言いながらも、今度は素直に離れる巴。
こうもあっさり離れるとは思いもよらずに驚いて見ていると、巴は笑顔でこちらを見上げてきた。
(先刻まで不機嫌だったくせにころころと表情が変わるのはやっぱり子供だ、と思う)
そうして、

「私、最初に対戦するのは絶対に亜久津さんだ、って決めてたんですから!だから対戦しましょう!ね?」

素直にそう告げてきたのだ。
教わった相手ではなく、俺と。ただそう告げただけ。
あぁ、ひねくれた俺とは違って単純な奴だ。けれどそんな単純な奴に流されようとしている俺も、相当。


「………つまんねーゲームだったら部屋追い出すからな」
「はいっ!でも大丈夫です、絶対楽しいですから!」


どうやら俺も、相当単純な思考回路をしている、らしい。


* * * * * * * * * *

カードゲームにしたのはなんとなく…中学生ならこういうのもやるかな?と。
最初は遊戯王を思い出して書き始めたんですけど(笑)
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